いつも乗るバスの受付のおじさん
毎週乗るのはオイラくらいなものなので
先セメからすっかり顔見知り
オイラを見かけると大袈裟に喜んでくれる
最初は握手から始まり
軽いハグを求められるようになり
ハグが長く強くなり
そのうち頭にキスとか
ほっぺにキスもされるようになり
まるで恋人か家族を見かけたような歓迎振り
とだんだん愛情表現がエスカレート
弱冠困惑のオイラ
喜んで歓迎してくれるのはうれしいのだけど
オイラとしては毎週の事でただ通学に利用しているだけなので
そんなに大袈裟に大歓迎してもらうような事ぢゃあない
しかもジャパニーズのオイラには
（いやたぶんアメリカ人でもだろう）
弱冠近過ぎるその距離感
ところが
ある朝行くとおじさんが突然
びっくりするくらい他人行儀になっていた
口では「ごきよう！」というもののなんかよそよそしい
いつもは他のお客さんにもゴキゲンで話しかけてるのにそれもない
おじさんはオイラだけでなく他のお客さん（特に女子）にも
人に寄ってはなれなれしいと誤解されるであろう態度で
お仕事していたので どうやら誰かにレポートされたっぽい
態度があまりにも激変だったので
何だか違和感だったけど
まああれ以上距離感が縮まっても困るところだったので
少しほっとした感もあった
さて 先週またいつも通りバスの駅に行くと
あらまあ いつもの陽気なおじさんに戻っていた
オイラを見て
「やー！ハグをおくれよ」といつも通り
ハイハイと軽くハグ
他の人に「この子は特別なんだ 毎週乗ってるから！」と説明
いや 毎週乗ってるとか言わなくてよいです ぶ
するとオイラの後ろに並んでいた女の子が何を思ったか
「私にはハグはないの？」とおじさんに訴えた
（人間というのはその対象が何であれ 他人がもらっていると
自分も欲しいと思ったりするのであろうか）
おじさん大喜びで「もちろん！」とハグハグ
そして女の子に「君のおかげで良い日になったよ」と超ゴキゲンさん
良かったね おじさん
それにしてももう忘れちゃったのだろうか
懲りないというか単純と言うか
それとも乙女のように気持ちのアップダウンが激しい人なのだろうか
いまくらいの丁度良い距離感をキープしてもらえれば助かるんだけど
不思議な人です