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村上春樹

最近 (古事記挫折中)
あまりにもメールの量が多くて全部読みきれていなかった
「少年カフカ」(海辺のカフカが出版された際の特別企画
村上さんと読者がメールのやりとりしたものをまとめたもの)
をまた読み直しています

改めて 春樹良い事言うなあああ と感心
この人は本当にタフで優しい 
そしてとても良い歳の取り方をしていると思う

それから
モノを造る人としての考え方に深く共感です

以下抜粋

*******************

「僕らのような仕事にとっては、継続がほとんど全てなんです。
継続し成長する事がもっとも甘美な復讐です。
それ以外のことをあまり深く考え込まない方がいいです。」

「魅力的に年齢を重ねる女性を見るのは、人生における大きな喜びの一つです。
それは考えようによっては、若くて魅力的な女性を見るよりも、素晴らしいことです。
あなたはたぶんまだお若いので歳を取るということについて何か思い込みのようなものが
あるのかもしれません。世界には色んな歳の取り方があります。
そしてそれは決意と努力によって、自分である程度コントロール出来ることなんです。
そういうのは洋服や化粧だけの問題ではありません。
むしろ精神の在り方によって大きく変わってくることです。
僕はそのような達成を目にするのがわりに好きなんだと思います。」

「でも僕は思うんだけど、すべての物事には必ず良き面と悪しき面があります。
あなたは人間不信という宿命を背負ったわけだけれど、
それはあなたという人間性をある意味ではとても深くしているはずです。
またそういう人間不信をくぐり抜けて愛する事が出来る人を、
他の人が誰かを愛するより深く愛しているのでないでしょうか?
そういう自分自身の「良き側面」に目をやるしかない。
「悪しき側面」にあなたを掴ませないように。
僕はそう思います。世界のどこかにはいつも日がさしているはずです。」

「でもねえ、僕は思うんですが、英語はぺらぺら流暢にしゃべれるけど、
退屈な事しかしゃべれないみたいなやつ、結構世の中に多いんです。
そういうやつになるよりは、べつに喋り方は下手でも良いから、
無骨でも良いから、自分が言いたい事をちゃんと持っている、
みたいな人にまずなるのが大事なんじゃないかと僕は考えます。」

「カフカくんがタフになろうとしているのと同じ様に、
僕も僕なりにタフになろうとしています。
カフカくんは15歳で、君は19歳で、僕は53歳ですが、
だいたい同じようなものです。がんばりましょう。」

「でも僕の描いている人々は、決して世の中をすねたり、
反社会的であったりするわけではありません。
みんな自分の設定した持ち場でそれなりに
全力を尽くして生きている人たちだと思うんです。
その営為が結果的にうまくいくかいかないかはまた別にして。そうですよね?
というわけで僕が想定している読者もやはりそういう人々です。
例えどこにいるとしても、何をしているにしても、
それなりに全力を尽くして、自分なりの生きる意味を見出したいと考えている人々。
誰かを何かを真剣に愛したいと考えている人々。」

「僕はとにかく「身体を鍛える。時間をかける。」と言うきわめてシンプルな
ポリシーでこの20年以上ものを書いています。
それが真摯であるかどうかは分かりませんが、
せっかくものを書いて生活出来る様になったからには、
とにかくベストを尽くすしかないですよね。
他人の足を引っ張ったり、言い訳したり、仲間同士で睦あっている暇があったら
次の作品を書く、これしかないです。」

「それらの作品を書いたという喜びと温かみはしっかり心に残っていますが
かたちになった作品そのものにはそれほど興味を抱く事が出来ません。
僕は(ものを造る人間として)先の事にしか興味が持てないんです。
人間が生きて行くというのは、多かれ少なかれそういうことです。
僕らは先に進んでいくしかないわけです。」

------村上春樹 「少年カフカ」

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2009年06月04日 22:35に投稿されたエントリーのページです。

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